40代の方でも将来や老後のために、コツコツと貯金をしてきた方は多いと思います。
「つみたてNISA」であれば、ただ貯めるよりは、効率よく資産形成できることを聞いたことがないでしょうか?
つみたてNISAとは、「少額投資非課税制度」です。
少額とあるように、小さい金額から始められ、その利益は非課税で受けて取れます。
投資と聞くと、「損をしたくない」「騙される」などの拒否反応を示してしまう方もいるかもしれませんね。
私も以前はそうでした。
参考までに、2021年9月に日本経済新聞の記事に、「つみたてNISA」を実践した結果が掲載されています(記事名:つみたてNISA対象投信、すべてが含み益に)。
「つみたてNISA」の商品(投資信託)は、金融庁の審査をパスしたもので構成されています。
この記事を見る限り、少なくとも「つみたてNISA」が始まった2018年1月から2021年6月までの3年半に、損失を出した商品は1つもありません。
決して、将来を保証した内容ではありませんが、参考になると思います。
そんな「つみたてNISA」ですが、いったいどういった制度なのか?長期投資で失敗はしないか?など、たくさんの疑問点があるでしょう。
次のページから、それらについて詳しく説明していきます。
目次
つみたてNISAの特徴
つみたてNISAは、2018年1月から始まった少額から20年間の長期投資を行える制度です。
2024年から新NISAが始まることで、現行のつみたてNISAの口座開設は2023年までとなりました。(2023年4月時点)。
ただし、今年中につみたてNISAの口座開設をすれば2042年まで運用可能です。
以下からは、つみたてNISAの特徴について詳しく説明していきます。
少額からの投資額
自身の収入に関わらず、1年間で最大40万円(月額は3万3,333円)の投資が可能。
もちろん、上限金額まで投資しなくても、月に数百円~1万円からでも大丈夫です。
途中で投資金額の変更もできます。
運用益が非課税
従来は運用益に税率20.315%が掛けられますが、「つみたてNISA」ではゼロ。
たとえば、投資で100万円の利益が出ると、通常は20.315%の税金が掛けられ、手元に残るのは約80万円です。
20万円近く税金で持って行かれてしまうのが、つみたてNISAでは、「税金ゼロ」で100万円がそのまま手元に残ります。
対象商品(投資信託)は手数料ゼロ
購入に関わる手数料はゼロ。
ただし、管理と運用に必要な信託報酬が発生して商品ごとに異なります。
20年間の長期投資
複利効果とドルコスト平均法を使った積み立てを行うので、条件設定したあとは「ほったらかし」ができる。
途中解約もできて、必要な時に資金を下ろせます。
複利効果とは?
「利息に利息がつく」というやり方です。
たとえば、100万円を元本として年率5%の利益が出ると仮定。
初年度の利益は5万円です。
次の年からは、100万円+5万円=105万円の5%の利益を受け取れる。
すなわち、利益は5万2,500円で合算すると105万円+5万2,500円=110万2,500円と資金が膨らんでいきます。
元本に対しての利息分しか増えない貯金よりも、だんぜん資金が増える手法です。
参考までに、長期投資の複利効果をシミュレーションできるサイトを紹介します(金融庁:資産運用シミュレーション)。
ドルコスト平均法とは?
投資手法の王道で、価格が変動するものを時間分散して購入することで購入額を平均化できる手法です。
たとえば、毎月の購入額を定額月1万円とした場合、投資信託の価格が2,000円だったら5口購入でき、値上がりして5,000円だったら2口購入となる。
これを長期間継続することで、購入価格の平均化が図れます。
すなわち、安くなったら多く購入し、高くなったら少なく購入することを繰り返して、売却する時に持っている口数分が利益をもたらしてくれます。
NISAとの違い
同じ非課税制度で「NISA」があります。
「NISA」の方が先にできましたが、政府の思惑と異なり、長期投資には結びつかず、改めて「つみたてNISA」を設立しました。
また、「NISA」と「つみたてNISA」の併用はできませんので、注意してください。
まずは、2つの違いを表にまとめてみました。
つみたてNISA | NISA | |
開始年月 | 2018年1月 | 2014年1月 |
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
対象商品 | 投資信託、ETFなど | 株式、投資信託、ETF、リートなど |
非課税期間 | 20年間 | 5年間 |
年間非課税枠 | 最大40万円 | 最大120万円 |
非課税期間 | 20年間 | 5年間 |
「NISA」では短期で儲けたい人が集まってしまったので、「つみたてNISA」では金融庁のお墨付きをもらった長期運用に適した商品が選ばれています。
また、初心者でも始めやすいように、年間の投資金額は40万円に抑えられています。
その代わりに、20年間という長期の非課税期間を設定しました。
すなわち、20年間の投資利益に対して、税金が掛かりません。
しかし、私も含めて人は短期で儲けたいと思ってしまうものです。
そんな中で、「つみたてNISA」に向いている方と、向いていない方がいます。
それらについて、次の項から説明します。
つみたてNISAに向いている方
投資の初心者
長期投資に向いている商品(投資信託)をそろえているので、初めての人でも安心して購入できます。
また、一般的な投資信託は販売手数料などがかかりますが、つみたてNISAの商品は手数料が無料(ノーロード)の商品だけです。
それによって、コストがかさむこともなく利益を上げられます。
ただし、商品ごとに信託報酬という運用と管理のための手数料は異なるので、ご注意ください。
投資に時間を割きたくない
40代となれば、仕事や家庭で忙しい毎日を過ごしていることでしょう。
そういった方は、出来るだけ投資に時間をかけたくないはずです。
つみたてNISAは、一度設定したら「ほったらかし」でも運用できます。
途中で気が変わって変にいじってしまうよりは、運用していることを忘れてもらった方が良いくらいです。
あまり投資にお金を掛けられない
上限金額は月3万3,333円ですが、最低金額は月100円から始められる証券会社もあります。
ただ、投資額が100円では受け取る利益も少ないので、最低でも5,000円くらいから始めた方が良いです。
月に1度、飲みに行く機会を減らせば、捻出できる金額ではないでしょうか?
つみたてNISAに向いている方もいれば、そうでない方もいます。
それは、どんな方なのかを次項から説明します。
つみたてNISAに向いていない方
短期間で利益を出したい
投資で一発逆転みたいな気持ちは分かります。
しかし、それは相場の変動を利用して短期的に利益を得ようとする「投機」に近い考えです。
「投資」は、将来性を見越して長期的な利益を得ることです。
つみたてNISAの商品群は、「投資」に対応したもので構成されているので、「投機」を行いたい方には向いていません。
一時的な元本割れを許容できない
投資信託を購入するので、元本割れを起こさない保証はありません。
どちらかというと、長期投資で一時的に元本割れをする場面は出てくると思った方が良いです。
最近でも2020年春ごろには、新型コロナの影響で大きく値を下げたので、元本割れになった方もいると思います。
私も経験しましたが、そこで投資を止めずに継続することが大事で、元に戻るのを待ちました。
元本割れすると心理的に焦ってしまいますが、それが許容できない方には向いていません。
初めて投資する場合などは、どうしても「短期で儲けたい」みたいな心理が働く場合があります(気持ちは分かります)。
しかし、上手くいった話は一部の方だけで、その陰にはお金をだいぶ減らした方がいることでしょう(自責の念を込めて言っています・・・)。
そうならないためにも、つみたてNISAで失敗しない、いくつかの秘訣があります。
それを、以下から詳しく説明していきます。
つみたてNISAで失敗しない秘訣
つみたてNISAを始める前に、一番気になるのは「失敗して大金を失ったらどうしよう」という心配だと思います。
つみたてNISAも投資なので、必ず成功するとは言えません。
ただ、いくつかのポイントを抑えることで、成功の確率は上がります。
損失が出てもすぐに止めない
株式投資やFXなどでは、「損切り」が大事だと言われていますが、つみたてNISAに限っては必ずしも当てはまりません。
先のページで説明したように、ドルコスト平均法を用いているので、価格が暴落したときは、安くなるので購入口数を増やせます。
安いときに多く買ったものが、値上がりしたときに利益に反映されます。
長期投資は継続が肝
複利効果を最大限に生かすには、いかに長く投資するかです。
つみたてNISAの商品は「利息が利息を生む」複利効果を使っているので、途中で止めてしまってはもったいないです。
つみたてNISAは途中解約もできますが、出来るだけ長く投資することをオススメします。
購入金額は一定にする
ドルコスト平均法を使うために、購入金額を一定にすることは、価格変動する商品の購入ポイントです。
価格が上下しようが、一度設定してしまえば機械的に一定額で購入できます。
途中で購入金額の変更はできますが、一定額を少しずつ積立てた方が、家計への負担も抑えられるでしょう。
分散投資を心がける
つみたてNISAの商品には、株式に投資する商品や、株式以外(債券、リートなど)を組み入れた商品もあります。
どの視点で分散投資する商品を選ぶかは、個人の投資方針によります。
全世界の株式に分散投資しているものが、人気のようですが、上限金額の中で複数の商品を選ぶことも可能です。
たとえば、米国株式+日本株式などの2つの商品を同時に購入することはできます。
ここまでの4つの秘訣は、つみたてNISAが持っている「複利効果+ドルコスト平均法」を生かすためのものです。
必ずしも、将来成功することを約束するものではありませんが、失敗の確率を下げる手法として取り上げました。
まとめ
つみたてNISAは、どちらかというと初心者の方に向けた制度です。
今まで投資を行ったことがない方にも、国が制度を見直して参入の敷居を低くしました。
それでは、これまで紹介してきたつみたてNISAの特徴を整理してみましょう。
1.少額からの投資が可能:年間最大40万円(月額最大3万3,333円)でスタートは数千円からでも大丈夫
2.運用益が非課税:通常は20.315%の税金がかけられるがゼロ
3.対象商品は手数料ゼロ:商品ごとに信託報酬はかかるが手数料はゼロ
4.20年間の長期投資:長期間にわたる積み立て投資をオススメ
どれも、初心者の方が始めやすく、損失のリスクを抑える工夫がされています。
また、注意したい点として「つみたてNISA口座」は1つの金融機関に1つ開設できるだけです。
そして金融機関ごとに、つみたてNISAで購入できる商品(投資信託)も異なるので、先に購入したい商品を決めてから口座開設をした方がよいでしょう。
まずは、「つみたてNISA」の目的をはっきりさせて(子供の将来、老後資金など)、資産運用に振り回されないように生活することを、目標に始めたらいかがでしょう。
今回の記事が、これから「つみたてNISA」を始めようとしている方に役立てば幸いです。