つみたてNISAを始める方が増えているそうです(日本証券業協会)。
そのなかで、投資未経験の方がつみたてNISAの口座を開く割合は、86.2%と高い数字が提示されています。
そんな方々が楽天証券で、つみたてNISAを始める人は多いのではないでしょうか。
いざ、つみたてNISAを始めようとしても、どの商品(投資信託)をどの割合(ポートフォリオ)で購入すれば良いのか悩んでいませんか?
そして、「できれば安全に資産を増やしたい」と思っている方が多いはずです。
そういった方に、シンプルなポートフォリオをオススメしたいと思います。
今回は、楽天証券のつみたてNISAで購入できる商品から選びました。
おすすめポートフォリオ1
・eMAXIS Slim米国株式(S&P500):60%
・eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):40%
おすすめポートフォリオ2
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド:100%
つみたてNISAを始めるなら、損はしたくないですよね。
そのために、投資対象の市場と割合を考慮することが大切です。
今回、「リスク分散しながら利益を狙えるポートフォリオ」として、上記の2つをオススメします。
どうして、これらのポートフォリオをオススメするのか次の項から説明します。
目次
インデックスファンドとは
つみたてNISAの商品(投資信託)を選ぶときに、まずはインデックスファンドとアクティブファンドの違いを理解しておきましょう。
一般的に初心者の方は、インデックスファンドが良いとされています。
それは、コスト(信託報酬)が安いからです。
信託報酬とは:長期投資では重要な項目で、運用や管理のために基準価格から差し引かれる費用。低いほど良い。
では、実際に楽天証券で扱っている商品で信託報酬を比較してみましょう。
まずは、楽天証券のつみたてNISAで購入できるインデックスファンドを信託報酬の低い順に並べてみました。
順位 | 商品名 | 対象市場 | 信託報酬 |
1 | iシェアーズ米国株式(S&P500) | 米国 | 0.0938% |
2 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 米国 | 0.0968% |
3 | SBI・先進国インデックス・ファンド | 先進国 | 0.1022% |
4 | My SMTグローバル株式インデックス | 先進国 | 0.1023% |
4 | eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 先進国 | 0.1023% |
4 | ニッセイ外国株式インデックス | 先進国 | 0.1023% |
7 | たわらノーロード先進国株式 | 先進国 | 0.10989% |
8 | SBI・全世界株式インデックス | 全世界 | 0.1102% |
9 | eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 全世界 | 0.1144% |
9 | eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型) | 全世界 | 0.1144% |
平均 | 0.1053% |
楽天証券が扱っているインデックスファンド10本の信託報酬の平均は0.1053%でした。
では、インデックスファンド以外ではどうでしょうか?
同じく、楽天証券が扱っているアクティブファンドを信託報酬が低い順に並べてみました。
順位 | 商品名 | 対象市場 | 信託報酬 |
1 | ニッセイ・世界株式ファンド(GDP型バスケット) | 全世界 | 0.1144% |
2 | EXE-i グローバル中小型株式ファンド | 先進国 | 0.311% |
3 | ニッセイ日本株ファンド | 日本 | 0.88% |
4 | 年金積立 Jグロース | 日本 | 0.902% |
5 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 日本 | 1.045% |
6 | ひふみプラス | 日本 | 1.078% |
6 | コモンズ30ファンド | 日本 | 1.078% |
8 | キャピタル世界株式ファンド | 先進国 | 1.085% |
9 | フィデリティ・米国優良株・ファンド | 米国 | 1.639% |
10 | フィデリティ・欧州株・ファンド | 欧州 | 1.65% |
平均 | 0.978% |
以上のように、上位10本の信託報酬の平均は0.978%でした。
整理すると、以下のようになります。
- インデックスファンド:0.1053%
- アクティブファンド:0.978%
実際にインデックスファンドの方が、コスト(信託報酬)は低いことが分かりました。
では、そのインデックスファンドの何をどのくらい購入する(ポートフォリオ)のが良いのか、次の項で説明します。
つみたてNISAのポートフォリオ:楽天証券編
楽天証券のつみたてNISAには183本の商品があります。
そのうち、インデックスファンドは119本です(2022年12月時点)。
それらの中で、商品を選択する優先順位は以下としました。
- コスト(信託報酬)が低いこと:長期間の投資では最重要
- 純資産額が大きいこと:金額が小さいと途中で解散の可能性あり
上記を考慮して選んだ商品を紹介していきます。
楽天証券:つみたてNISAおすすめポートフォリオ1
最初のおすすめポートフォリオは、2つの商品の組み合わせです。
商品名 | 内容 | 比率 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 米国を代表する500社の株価指数(S&P500)に連動する商品 | 60% |
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 8つの資産に均等(12.5%)に投資した商品 | 40% |
1つ目に選んだのは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」で米国企業を対象としたものです。
米国企業を代表する500社の株価指数S&P500に連動する商品となります。
グローバル企業が多い米国企業は、今後も世界経済をけん引する存在として変わらないと思っています。
そして、米国企業に投資する商品の中で、信託報酬が低く純資産が大きかったのが、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」でした。
実際に、米国企業を対象とした商品を信託報酬と純資産額を並べてみましょう。
商品名 | 信託報酬 | 純資産額 |
iシェアーズ米国株式(S&P500) | 0.0938% | 149億円 |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968% | 1兆6,400億円 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.162% | 7,430億円 |
つみたて米国株式(S&P500) | 0.22% | 58億円 |
NZAM・ベータ S&P500 | 0.22% | 3億円 |
Smart-i S&P500 インデックス | 0.242% | 62億円 |
上記の表から、コストが低く純資産額が一番大きいのが「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」でした。
この商品は楽天証券の中では断トツに人気の商品で、買い付けランキングでも1位を確保しています。
そして、資産を増やす役割として考えているので、半分より多い60%の割合を割り当てました。
理由は、できるだけ利益を確保したいからです。
次に選んだのは「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」です。
資産を増やす役割として「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を選んだので、今度は安全性を軸とした商品を選びました。
安全性を重視するには、値動きが大きい株式以外の資産を組み入れる必要があります。
株式以外の資産を選ぶとなると、「バランスファンド」を選択する必要があります。
バランスファンドとは:国内外の株式、債券、リート(不動産投信)に投資する投資信託。分散投資になるのでリスク低減が期待できる。
楽天証券にあるバランスファンドのなかで、1番コスト(信託報酬)が低かったのは、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」と「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)の2つでした。
ただ、純資産額を比較すると「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」の方が大きかったので、こちらを選びました。
実際に、バランスファンドの信託報酬と純資産額を比較してみましょう。
商品名 | 信託報酬 | 純資産額 |
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 0.154% | 1,710億円 |
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) | 0.154% | 257億円 |
ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型) | 0.1749% | 16億円 |
ダイワ・ライフ・バランス30 | 0.198% | 226億円 |
日本株式・ Jリートバランスファンド | 0.209% | 11億円 |
上記のように、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は信託報酬が1番低く、純資産額も1番大きい商品になります。
リスク低減という考えから、分散する資産数は多い方が良いと思っています。
同じ信託報酬(0.154%)だった、「eMAXIS Slimバランス8資産」と「ニッセイ・インデックスバランスファンド4資産」の資産内容を比較してみましょう。
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は、8つの資産に12.5%ずつに均等に配分されています。
「ニッセイ・インデックスバランスファンド4資産」は4つの資産に25%ずつの均等配分。
「eMAXIS Slimバランス8資産」より新興国株式、新興国債券、国内リート、先進国リートの4つが少なくなっています。
資産数が多い方が、変動リスクをカバーするという点で「eMAXIS Slimバランス8資産」は安心です。
楽天証券:つみたてNISAおすすめポートフォリオ2
次のおすすめポートフォリオは、1つの商品だけを対象としたものです。
ターゲットはリスク分散を考慮して、全世界を対象とした商品を選びました。
それは、先進国から新興国までの株式を対象とした「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」です。
楽天証券でも、SBI証券の商品を購入できます。
商品名 | 内容 | 比率 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 日本を含む先進国から新興国までの世界の株式を対象 | 100% |
楽天証券には、他にも全世界株式を対象としている商品があります。
それらを、信託報酬が低い順に並べてみました。
商品名 | 信託報酬 | 純資産額 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 0.1102% | 809億円 |
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 0.1144% | 7,833億円 |
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型) | 0.1144% | 63億円 |
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) | 0.1144% | 1,915億円 |
たわらノーロード全世界株式 | 0.132% | 37億円 |
すると、コスト(信託報酬)が1番低いのは「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」になります。
長期投資で1番優先されるのはコストなので、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」を選びました。
純資産額は「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」の方が大きいです。
しかし、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」は800億円以上あるので、途中解散のリスクはほとんどありません。
これ1本で、先進国から新興国までカバーしていることから「リスク分散」が可能です。
「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」の投資先の割合は、上位から以下のようになっています。
米国:59.5%
日本:6.29%
英国:3.93%
カナダ:3.28%
スイス:2.66%
中国:2.60%
フランス:2.48%
インド:2.06%
出典:2022年10月発行の月次レポート
世界経済をけん引している米国企業の比率が高いので、リスク分散以外に稼ぐ力も持っている商品だと思います。
また、これから発展が期待できる新興国も対象としているので、リスク分散としては効力を発揮できるでしょう。
あれこれ悩む時間が、もったいないと思う方にはこれ1本で満足できる商品です。
まとめ
つみたてNISAは長期の投資です。
今回、初めて「投資」を行う方も多いと思います。
そんな中で、初めての方がポートフォリオで何を選んでよいのか迷うはずです。
ただ、選んだ商品とその比率は途中で変えられます。
一度決めたら、ずっと同じ比率というルールはありません。
最初から完璧なポートフォリオを目指さなくても、状況に合わせて更新することが可能です。
今回おすすめしたポートフォリオは、以下になります。
おすすめポートフォリオ1
・eMAXIS Slim米国株式(S&P500):60%
・eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):40%
おすすめポートフォリオ2
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド:100%
初めての方でも組みやすい、シンプルなポートフォリオです。
難しいことは考慮せず、コストが低く純資産が大きい商品を選びました。
もちろん、資産を増やすことを目的にしていてリスクも考慮してあります。
預貯金がある程度あれば、それを担保として株式中心の投資信託だけでポートフォリオを組んでも良いでしょう。
ご自身の資産全体のバランスを考えて、つみたてNISAでは資産を増やすことを目的に始めても良いと思います。
今回の記事が、皆さんのポートフォリオを作るヒントになれば幸いです。