新型コロナが広がってから、将来に不安を抱く人が多くなっているようです。
「つみたてNISA」は、2019年のいわゆる「老後資金2000万円問題」を契機に利用者が増え、さらに今回のコロナ禍によって口座数が伸びています。
特に40代は、「つみたてNISA」の買付金額で1位の27.2%を占めています。(金融庁:令和3年7月16日公表_P9)
そういった中で、いざ始めようと「つみたてNISA」の口座を開設しても、たくさんの商品があって、どれを選べばよいのか悩んでしまいますよね?
そこで今回は、インデックスファンドの選び方を紹介します。
ご存じのように、インディックスファンドは、投資対象とする指数(インデックス)に連動する形で運用利益を出す商品です。
すなわち、どの指数を選択するかが重要になります。
インデックスファンドの選び方は、以下のとおりです。
- 投資対象となる指数の中身と過去の上昇率を確認
- その指数を対象とするインデックスファンドで1番コスト(信託報酬)が安いものを選択
そのためこの記事では、代表的な指数の中身と過去20年間の上昇率を紹介していきます。
過去の上昇率を参考にして、どの指数が自分の投資志向と合っているのかが分かれば、自分に合ったインデックスファンドを見つけることができます。
では、以下から詳しく紹介していきます。
目次
インデックスファンドとアクティブファンド
投資信託には、大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2つがあります。
それぞれに長所と短所がありますので、まずは2つの違いを簡単に解説します。
インデックスファンドについて
そもそも、インデックスファンドとは何でしょうか?
答えは、対象とする指数(インデックス)に連動して運用利益を出す投資信託のこと。
以下のように、指数に準じた動きになるように運用する商品です。
運用は各社のファンドマネージャーといわれる投資のプロが行ってくれます。
指数に連動する機械的な運用なので、コスト(信託報酬)は安いのが特徴です。
アクティブファンドについて
それに対して、対象とする指数の平均以上の利益を追求するものがアクティブファンドです。
下図のように、アクティブファンドは対象とする市場を独自に設定して、その市場平均を超える成果を目指すように運用されます。
各社のファンドマネージャーの腕がものをいう商品なので、運用成績の差が大きくなります。
成績を上げるために市場調査などの手間が必要になるので、コスト(信託報酬)はインデックスファンドより高いです。
アクティブファンドは市場平均を大きく超えるものもありますが、コストが高い割にインデックスファンドの成績と変わらないか、それ以下の成績の商品もあります。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いを、以下のように表にしてみました。
インデックスファンド | アクティブファンド | |
対象指数 | 海外株式、日経平均、S&P500など | 独自に設定 |
コスト(信託報酬) | 安い | 高い |
運用利益 | 指数に連動して平均的 | 優秀なものは好成績 |
つみたてNISAでは長期に渡って運用することが前提なので、まずは低コストであるインデックスファンドから始めるのが良いでしょう。
証券会社のつみたてNISAのランキングを見ても、上位10個をインデックスファンドが占めています。
多くの人が「つみたてNISA」で、インデックスファンドを選んでいることが分かります。
連動する指数とインデックスファンドの関係
インデックスファンドを購入するときは、対象とする指数が何であるかを確認しましょう。
それによって、安全性(分散性)や今後の上昇率に対するイメージを持てます。
代表的な3つの指数と、それに連動するインデックスファンドを整理してみました。
MSCIオールカントリーワールドインデックス
MSCIオールカントリーワールドインデックス(MSCI ACWI)は、世界全体の株式の動きを示す指数です。
もっとも一般的な指数で、「日本を含む」と「日本を含まない」があります。
過去20年間の値を示すと、以下のグラフになります。
日本を含むものよりも、含まない方が少しだけ高い値となっています。
過去20年間(2001年~2021年)の上昇率を算出したものが以下となります。
指数 | 上昇率 |
MSCI ACWI(日本を含む) | 185% |
MSCI ACWI(日本を含まない) | 196% |
上昇率においても日本を含まない指数の方が、上昇率は高い結果となっています。
原因は、日本企業の株式の成長率が低いからだと思われます。
これらの指数を対象にしている主な投資信託は、以下の5つです。
商品名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)*日本を含む | 0.1144% |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 0.1144% |
たわらノーロード全世界株式 *日本を含む | 0.132% |
つみたて全世界株式 | 0.22% |
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株 | 0.275% |
初めて投資する方や、投資先を広げて安全に投資したい方は、全世界の株式を対象としたこれらの商品が良いでしょう。
これらの中から1つを選ぶことで、全世界の株式に分散投資ができます。
MSCIコクサイ・インデックス
MSCIコクサイ・インデックス(MSCIコクサイ)は、多くの先進国を対象とする投資信託が採用する指数です。
日本を除く先進国の株式を対象としていて、世界の時価総額の85%をカバーしてますが、7割近くはアメリカ企業となっています。
過去20年間の推移は、以下になります。
MSCIコクサイの過去20年間における上昇率を計算してみましょう。
指数 | 上昇率 |
MSCIコクサイ | 201% |
こちらは成長率の高いアメリカ企業の割合が高いことから、先ほどのMSCI ACWIよりも高い上昇率となっています。
MSCIコクサイを対象としている代表的なインデックスファンドは、以下の5つになります。
商品名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 先進国株式 | 0.1023% |
ニッセイ外国株式 | 0.1023% |
たわらノーロード先進国株式 | 0.10989% |
i-SMT グローバル株式 | 0.209% |
つみたて先進国株式 | 0.22% |
先進国といっても、7割近くは米国企業が入っています。
米国企業の個別株を買う代わりに分散投資をしたい方は購入しても良いでしょう。
S&P500
S&P500は、米国を代表とする500社の株式を対象とする指数です。
ハイテク企業が中心でNYダウよりも上昇率が高いものとなっています。
同様に過去20年間の推移は、以下となります。
同様に、S&P500の過去20年間の上昇率を計算すると、以下となります。
指数 | 上昇率 |
S&P500 | 244% |
上昇率だけを比較すると、今まででの指数の中では一番高い値となっています。
S&P500を対象としている代表的な投資信託は、以下の5つになります。
商品名 | 信託報酬 |
SBI・V・S&P500 | 0.0938% |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968% |
つみたて米国株式(S&P500) | 0.22% |
Smart-i S&P500 | 0.242% |
iFree S&P500 | 0.2475% |
成長率が高い米国企業に投資したいと考えている人には、オススメできる商品です。
指数(インデックス)の比較
ここまで、3つの代表的な指数(インデックス)を紹介してきました。
それぞれ特徴を持っている指数ですので、一概にどれが良いとか悪いとかは言い難いところがあります。
整理するために各指数の過去20年間の上昇率、一番低い信託報酬の商品、安全性(分散性)を表にしてみます。
指数 | 上昇率 | オススメ商品 | 信託報酬 | 安全性(分散性) |
MSCI AWCI(日本を含まない) | 196% | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) | 0.1144% | ◎ |
MSCIコクサイ | 201% | eMAXIS Slim先進国株式 | 0.1023% | 〇 |
ニッセイ外国株式 | 0.1023% | |||
S&P500 | 244% | SBI・V・S&P500 | 0.0938% | △ |
各指数でオススメの投資信託は、上記に記載した信託報酬が一番安い商品になります。
「つみたてNISA」は最大20年の長期間の投資なので、一番安いコスト(信託報酬)のものを選ぶべきです。
まとめ
各指数の過去20年間における上昇率を比較しましたが、今後の上昇率を保証したものではありません。
しかし、「賢者は歴史から学ぶ」という格言があるように、過去を振り返ってみることは未来を予想する上で欠かせません。
以下に、主な指数の過去20年間の上昇率と、指数の中身を整理しましたので、十分参考になると思います。
MSCI オールカントリーワールドインデックス
・上昇率:196%
・先進国と新興国の株式を対象に安全性(分散性)は高い
・上昇率は低いが、これ1つで全世界に投資と同じ効果
MSCIコクサイ・インデックス
・上昇率:201%
・先進国の株式を対象(7割近くは米国企業)
・米国企業以外の先進国企業を含めて投資
S&P500
・上昇率:244%
・米国を代表する500社に投資
・成長は期待できるが、米国企業だけに投資
繰り返しますが、インデックスファンドを選ぶことは、どの指数に投資するかということです。
ご自身の投資志向に合う指数の中から、信託報酬が一番安い商品を選ぶことをオススメします。
各指数のオススメ商品を、以下に整理しました。
指数名 | おすすめのインデックスファンド |
MSCI オールカントリーワールドインデックス | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) |
MSCI コクサイ・インデックス | eMAXIS Slim先進国株式 または ニッセイ外国株式 |
S&P500 | SBI・V・S&P500 |
なお、S&P500の指数を対象にして、信託報酬が一番安い「SBI・V・S&P500」は、SBI証券でしか購入できません。
ご興味ある方は、SBI証券の公式サイトを覗いてはいかがでしょうか。
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