つみたてNISAを始める方で、こう思っている人がいるんじゃないですか?
「インデックスファンドをオススメされるけど、アクティブファンドはどうなんだろう?」。
つみたてNISAには、「インデックスファンド」は185本ありますが、「アクティブファンド」は24本しかありません(金融庁:2022年12月時点)。
その中から、各金融機関が任意に選択して販売しています。
雑誌やネット情報で、「初めての方はインデックスファンドが良い」と書かれているのを見たことがあると思います。
筆者もこのサイトで、そう書きました。
特に初心者の方は、「アクティブファンドは買わない方が良い」「大損してしまう」と思っているでしょう。
「インデックスファンド」よりも「アクティブファンド」の方が儲かったというデータがあります(2020年10月時点)。
つみたてNISAは2018年1月に始まり、それから2年10ヵ月後の成績を示しています。
あくまで過去のことなので、将来の見通しを保証するものではありません。
アクティブファンドは値動きが大きいので、値下がりするときは損失が大きく、値上がりするときは利益が大きいのが特徴です。
これだけ聞くと、初心者の人はやはり買わない方が良いと思うでしょう。
でも、アクティブファンドを買っても大丈夫な条件があります。
- コア資産(貯金、iDeCoなど)が既にある方
- 初めての方は「インデックスファンド」と組み合わせて買う
1つ目は、既にコアとなる資産を持っている方が、その資産に影響を与えない範囲でアクティブファンドを購入するのは問題ありません。
コア資産を持っている方は、アクティブファンドの損失が影響しないように出来るはずです。
2つ目は、これからつみたてNISAを行う方でも、上限金額の中でインデックスファンドと組み合わせて購入することでリスクを減らせます。
それでは、どうして購入するのに条件が必要かを詳しく説明していきます。
目次
つみたてNISAの「アクティブファンド」は高リスクか?
少し投資について勉強された方は、以下の言葉を聞いたことがあると思います。
「つみたてNISAをこれから始める人に、アクティブファンドはオススメしません」と。
なぜなら、高リスクだと言われているからです。
アクティブファンドが高リスクだという意味は、以下の2つになります。
- インデックスファンドよりも値動きが大きいので下がったときの損失が大きい
- コスト(信託報酬)が低いインデックスファンドよりも利益が出ていないものがある
アクティブファンドは、ターゲットとしている指標(TOPIXや日経平均など)よりも好成績を目指しています。
そのため、値上がりを狙ってターゲットを絞った投資をするので分散投資にならず、インデックスファンドよりも大きく値動きしてしまいます。
この2つのリスクを調べるために、過去の値動きを使って比べてみましょう。
つみたてNISAの「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の比較
1つ目リスクを比較するため、2020年にコロナ禍によって市場が悪化したときの価格変化を調べてみました。
つみたてNISAで購入できる商品同士の比較です。
日本株式を対象としていて、純資産額が近い物を選びました。
カテゴリー | 銘柄名 | 信託報酬 | 純資産額 |
アクティブ型 | 年金積立Jグロース | 0.902% | 466億円 |
インデックス型 | ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.154% | 445億円 |
2020年1月の値を、100とした場合で計算してみました。
3月にコロナ禍の影響で大きく値下がりしています。
インデックス型よりもアクティブ型の方が、少しだけ(2%)値下がり率が大きい結果でした。
この時に、つみたてNISAを始めたばかりの方なら、元本を大きく割り込んでしまう場合もあります。
また、つみたてNISAは長期間にわたる投資になります。
長期投資の終盤になって、2%の差が出てしまい取り戻す時間が少ないと損失が大きくなってしまいます。
このことが、高リスクといわれる1つ目の理由です。
次に2つ目のリスクとして、インデックスファンドよりも利益が出ていないアクティブファンドがあると言われていることです。
今度は、TOPIXを指標としている商品同士を比べてみました。
TOPIXとは
東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)の略称で、1部上場企業約2,000社の株価を示す指数。日本の景気動向を示す重要な値。
カテゴリー | 銘柄 | 信託報酬 | 総資産額 |
アクティブ型 | ニッセイ日本株ファンド | 0.88% | 1,029億円 |
インデックス型 | ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.154% | 445憶円 |
2015年の値を100とした場合の比較をしました。
これを見ると、TOPIX以上の値を目指すはずのアクティブファンドの方が、インデックスファンドよりも小さい値になっています。
このように、コスト(信託報酬)の低いインデックスファンドよりも成績が悪い商品もあります。
アクティブファンドには、こういう商品もあるので初心者の方には選ぶのが難しいと言われています。
これが高リスクと言われる2つめの理由です。
もちろん、アクティブファンドの中には優秀な商品もあります。
最初に書きましたように、2020年時点でアクティブファンドの方が、インデックスファンドよりも利益が出ているというデータがあります。
実際、私は「アクティブファンド」を購入していて、好成績を出していました。
そんなアクティブファンドですが、購入しても大丈夫な条件があります。
それについて、次の項から説明します。
つみたてNISAで「アクティブファンド」を買っても大丈夫な条件
初心者の方が、いきなりアクティブファンドだけを購入するのはオススメしません。
つみたてNISAで投資するには目的があるはずです。
人によって目的は違えど、損しないことが大切です。
あくまで投資は手段であって、目的ではありませんから。
それを考えると、どのようにアクティブファンドの影響を抑えるかが、購入する条件となります。
コア資産がある人
資産形成にむけて、すでに貯金などのコア資産がある方はいると思います。
または、iDeCoでインデックスファンドを使って老後資金を貯めている方もいるでしょう。
そういった方は、そのコア資産に影響を与えない範囲で、アクティブファンドを購入すれば大丈夫です。
コア資産への資金以外で、アクティブファンドを購入しましょう。
そうすれば、アクティブファンドで損失が大きくなっても、コア資産を守れます。
インデックスファンドと組み合わせて購入
そうは言っても、「そんなコア資産は大してないよ」「だから、つみたてNISAで増やしたい」という方もいるでしょう。
特に初心者の方は、つみたてNISAで資産形成を望んでいる場合もあります。
そういった方は、インデックスファンドとアクティブファンドを組み合わせて購入することをオススメします。
アクティブファンドと組み合わせるインデックスファンドは、より慎重に選ばなくてはなりません。
実は、アクティブファンドの主な投資対象は「株式」です。
そのため、株式市場の変動に大きく左右される商品になります。
組み合わせて購入するインデックスファンドは、「株式」以外の資産を含むバランス型のインデックスファンドが良いでしょう。
なぜなら、アクティブファンドが抱える「株式」が大きく値を下げた場合でも、バランス型のインデックスファンドなら影響が少なく、同時に大きな損失になりにくいからです。
詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
初めてのつみたてNISAおすすめ銘柄2選!安全重視・利益重視それぞれの商品をご紹介つみたてNISAでおすすめの「アクティブファンド」
つみたてNISAには、金融庁の審査をパスした「アクティブファンド」が販売されています。
その中から、好成績が期待できる「アクティブファンド」を見つけるのは、初めての方には難しい問題です。
まずは、つみたてNISAで購入できるアクティブファンドを比較してみましょう。
つみたてNISAの「アクティブファンド」を比較
インデックスファンドとは、違う指標で見る必要があります。
そこで、次の3つの項目でアクティブファンドを比較してみましょう。
1.シャープレシオ:数値が大きいほど効率的に設けている指標。1より大きい数字が良い。
2.カテゴリー差:対象とする市場カテゴリー平均との差。プラス側に大きければ良い。
3.信託報酬:管理と運用のために引かれる費用。インデックスファンドよりも高め。
まず、初めて聞く用語がシャープレシオだと思います。
シャープレシオとは、投資信託が効率的に儲けているかを示す数字のことです。
数字が大きいほど、効率的に儲けていることになります。
シャープレシオ=上昇率(%) ÷ リスク(%)という式です。
同じ上昇率でもリスクが高いと、数字が低くなります(リスクは値動きの激しさを標準偏差で表しています)。
アクティブファンドでは、評価項目として使われる場合が多いです。
上記の3つの指標を用いて、つみたてNISAにある主なアクティブファンドを表にしてみました。
シャープレシオの高い順にトップ10を並べると、下記のようになります。
銘柄名 | シャープレシオ5年 | カテゴリー差 | 信託報酬 |
iFreeNYダウ・インデックス | 0.75 | +0.22 | 0.25% |
たわらノーロードNYダウ | 0.75 | +0.22 | 0.25% |
フィデリティ・米国優良株・ファンド | 0.73 | +0.21 | 1.64% |
eMAXIS NYダウインデックス | 0.72 | +0.20 | 0.66% |
セゾン バンガード・グローバルバランスF | 0.64 | +0.35 | 0.56% |
キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用) | 0.63 | +0.17 | 1.08% |
LOSA長期保有型国際分散インデックスF | 0.60 | +0.21 | 0.61% |
のむラップ・ファンド(積極型) | 0.55 | +0.19 | 1.52% |
セゾン資産形成の達人ファンド | 0.51 | +0.05 | 1.34% |
世界経済インデックスF | 0.51 | +0.11 | 0.55% |
トップの「iFreeNYダウ・インデックス」と「たわらノーロードNYダウ」は、シャープレシオが0.75です。
アクティブファンドの中で、シャープレシオが1以上の銘柄はありません。
いまの市況では、効率的に儲けてるアクティブファンドは少ない結果です。
その中で、カテゴリー差と信託報酬も考慮すると、オススメのアクティブファンドは以下の2つになります。
・iFreeNYダウ・インデックス
・たわらノーロードNYダウ
どちらも、他と比較してシャープレシオが大きく、信託報酬が低い商品です。
じつは、筆者はアクティブファンドの「ひふみプラス」を購入しています。
数年前はとても良い成績をおさめていました。
しかし、今は成績もいまいちです。
個人的に信託報酬がインデックスファンドと比べて高いことが、オススメできない一番の理由です。
まとめ
今回の記事では、アクティブファンドについて紹介しました。
アクティブファンドは高リスク・高リターンの商品ですが、買い方を工夫すれば運用できます。
購入する条件として、以下の2つを挙げさせてもらいました。
- コア資産(貯金など)に影響しない範囲で購入する
- インデックスファンドと組み合わせて購入する
アクティブファンドは、必ず儲かるわけではないので、値下がりした時の損失を小さくする工夫が必要になります。
いまのコロナ禍や物価高の市況では、アクティブファンドの成績もよくないので積極的にオススメすることは出来ません。
ただ、低迷している時期にこそ購入して値上がりを待ちたいという方針があれば、購入しても良いでしょう。
もし、つみたてNISA口座をこれから開設して、アクティブファンドを購入しようと思う方に、今回の記事が参考になれば幸いです。