40代になると、老後のことも気になりだしている方がいるのではないでしょうか?
とくにお金(老後資金)のこと。
金融庁によると、老後資金は年金以外に2,000万円が必要と言われています。
子どもの教育費や家のローンだけでも大変なのに、老後の資金まで準備するのは中々大変ですよね。
ましてや2,000万円なんて、地道に貯金しても厳しい金額です・・・。
ですから、老後の資金をつくるために、今からでも資産形成を始めてみることをオススメします。
「投信積立」という方法ですが、数万円ずつ投資信託を購入して毎月積み立てていくことで、老後資金をまかなうことが可能です。
とはいっても、いくらのお金を資産形成に回せるかを見極める必要があるので、まずは現状を把握することから始めましょう。
目次
1.まずは老後までの大きな出費を把握しよう
はじめに、老後までの大きな出費を把握しておきたいと思います。
教育費
子供の人数などで変わりますが、大きな支出の一つとして「教育費」があげられます。
実際の教育費がどのくらいかかるのか、文部科学省が公開しているデータを見てみましょう。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/学習費総額.jpg)
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/大学学費-2.jpg)
出典※2:文部科学省 平成30年度私立大学の初年度納付金
これらのデータを参考に、幼稚園から高校まで公立で、大学も国立の場合を計算してみました。
公立幼稚園:22万3,647円×3年=67万941円
公立小学校:32万1,281円×6年=192万7,686円
公立中学校:48万8,397円×3年=146万5,191円
公立高校:45万7,380円×3年=137万2,140円
国立大学:81万7,800(初年度)+53万5,800×3年=242万5,200円
合計すると786万1,158円。
同様に、幼稚園から大学(文系)まで私立に通った場合を計算してみます。
私立幼稚園:52万7,916円×3年=158万3,748円
私立小学校:159万8,691円×6年=959万2,146円
私立中学校:140万6,433円×3年=421万9,299円
私立高校:96万9,911円×3年=290万9,733円
私立文系:116万6,922円(初年度)+78万5,581円×3年=682万3,665円
合計は2,512万8,591円となります。
すべて私立に通わせると、頭がクラクラしそうな金額ですね。
ただし、これらは学習費用だけで、ほかにも食費や光熱費などの生活費用が必要です。
住宅費
これから家を購入するとなると、その費用も必要ですよね。
住宅金融支援機構の2019年度のデータによると、住宅の購入費用は以下の通りです。
- 建売住宅:3,494万円
- マンション:4,521万円
- 注文住宅:3,454万円
- 中古マンション:3,110万円
- 中古戸建:2,574万円
家をローンで購入すると、月々の返済額は平均で9万8,000円になります。
人生のイベントに必要な金額
教育費と住宅費以外にも、これからの人生で必要な出費を考えてみましょう。
【車の購入】
最近は軽自動車でも200万円近いものがありますが、ここでは300万円とします。
【家のリフォーム代】
リフォームする場所(トイレ、台所、洗面台)で金額は異なりますが、500万円とします。
【旅行費用】
あと、子どもが大学に入学する前に旅行へ何回か行くと思いますが、その代金として15万円×8回分=120万円として計上しておきましょう。
【子どもの結婚費用】
最近は結婚式を行わない人も増えていますが、子どもの結婚費用を補助する資金として180万円がかかるとします。
老後までの出費合計
ここまで想定した老後までの出費をまとめます。
- 一人あたりの教育費:幼稚園から高校まですべて公立=約544万円
- 大学が私立の場合=約682万円(一人)
- 住宅購入ローン:9万8,000円×12ヵ月=117万6,000円/年
- 車購入:300万円
- 家のリフォーム:500万円
- 家族旅行:120万円
- 子供の結婚費用:180万円
上記の例では、40歳から定年までの支出は約4,900万円となりました。
なお、人生における出費を計算するときは、以下のように年表に書き出しみることをオススメします。
年齢 | 第一子 | 教育費 | 第二子 | 教育費 | 住宅費 | ライフイベント | 合計費用 |
40歳 | 公立中学入学 | 48万8,397円 | 小学校5年 | 32万1,281円 | 117万6,000円 | 第一子中学入学/ 家族旅行:15万円 | 213万5,678円 |
41歳 | 48万8,397円 | 小学校6年 | 32万1,281円 | 117万6,000円 | 第二子小学校卒業/ 家族旅行:15万円 | 213万5,678円 | |
42歳 | 48万8,397円 | 公立中学入学 | 48万8,397円 | 117万6,000円 | 第二子中学入学/ 家族旅行:15万円 | 230万2,794円 | |
43歳 | 公立高校入学 | 45万7,380円 | 48万8,397円 | 117万6,000円 | 第一子高校入学/ 家族旅行:15万円 | 227万1,777円 | |
44歳 | 45万7,380円 | 48万8,397円 | 117万6,000円 | 家族旅行:15万円 | 227万1,777円 | ||
45歳 | 45万7,380円 | 公立高校入学 | 45万7,380円 | 117万6,000円 | 第二子高校入学/ 家族旅行:15万円 | 224万760円 | |
46歳 | 私立大学入学 | 116万6,922円 | 45万7,380円 | 117万6,000円 | 第一子大学入学/ 家族旅行:15万円 | 295万302円 | |
47歳 | 78万5,581円 | 45万7,380円 | 117万6,000円 | 家族旅行:15万円 | 256万8,961円 | ||
48歳 | 78万5,581円 | 私立大学入学 | 116万6,922円 | 117万6,000円 | 第二子大学入学 | 312万8,503円 | |
49歳 | 78万5,581円 | 78万5,581円 | 117万6,000円 | 274万7,162円 | |||
50歳 | 就職 | 78万5,581円 | 117万6,000円 | 196万1,581円 | |||
51歳 | 78万5,581円 | 117万6,000円 | 196万1,581円 | ||||
52歳 | 就職 | 117万6,000円 | 車買い替え:300万円 | 317万6,000円 | |||
53歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
54歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
55歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
56歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
57歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
58歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
59歳 | 117万6,000円 | 子供の結婚:180万円 | 297万6,000円 | ||||
60歳 | 117万6,000円 | 117万6,000円 | |||||
61歳 | ローン完済 | ||||||
62歳 | |||||||
63歳 | |||||||
64歳 | 住宅リフォーム: 500万円 | 500万円 | |||||
65歳 | 定年退職 | ||||||
合計 約4,906万円 |
この表のように、年齢ごとにイベントと費用を書き込むことで、これからどれだけお金がかかうのか、大まかなイメージを持つことができると思います。
また、上記の出費以外に、もちろん普段の生活費もかかりますよね。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/1ヵ月の支出.jpg)
政府統計データによると、二人以上の世帯における1ヵ月の生活費は約27万円です。
では、40歳から定年までの25年間でかかる生活費を計算します。
27万円×25年(300ヵ月)=8,100万円
したがって、老後までの出費は、以下のとおりです。
- イベント費用(教育費と住宅費を含む):4,900万円
- 生活費:8,100万円
つまり、40歳から定年までの25年間で、1憶3,000万円の出費が想定されます。
退職するまでの総収入はいくらか?
次に退職(65歳までと仮定)までの収入を計算してみましょう。
国税庁の調査によると、年齢別の給与収入は以下のような分布となっています。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/nennrei.jpg)
上記を参考に40歳~64歳までの給与を計算したのがこちらです。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/給与収入合計-2.jpg)
男性の場合、40歳から定年までの給与収入は平均1憶5,490万円。
税金などを考慮して給料の8割を手取りとした場合、1憶2,392万円が40歳から定年までの収入となります。
退職時の貯金額を計算
政府統計によると、年齢別の平均貯蓄額は以下のようになっています。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/年齢別の貯蓄額.jpg)
(※上記には現金の貯金以外に株などの有価証券も含まれています。)
40歳代の貯蓄額は926万円なので、この数字を使います。
手取り収入: 1憶2,392万円
貯蓄:926万円
出費:1憶3,000万円
これを次の式にあてはめます。
「手取り収入」+「貯蓄」-「出費」=「定年時の貯金額」
すると定年時の貯金額は318万円となります。
年金見込み額の調べ方
さて次に、ご自身の年金額を把握しましょう。
私も自分の年金額が思ったよりも少ないことに危機感をおぼえ、それをきっかけに資産形成をはじめました。
年金の見込み額は「ねんきんネット」を使って調べられます。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/ねんきんネットHP-1024x501.jpg)
すでに「ねんきんネット」に登録してユーザーIDをお持ちの方は「ログイン」から入れます。
初めての方は「新規登録」から入ると、以下の画面が出てきます。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/ねんきんネット利用登録.jpg)
「年金定期便」のハガキが届いている方は受け取り後3カ月以内なら、それに記載されているアクセスキーを使って登録できます。
アクセスキーがなくても、年金手帳に書いてある年金番号が分かれば登録可能です。
年金手帳は勤務先が預かっているところもあるので、手元にない場合は担当部署に尋ねてみましょう。
ログイン後に以下の画面にたどり着いたら、「将来の年金を試算する」を押して入ります。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/ログイン後2.jpg)
すると、そのなかにある「かんたん試算」をクリックして条件を入力すると、100歳までの年金額が表示されます。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/01/かんたん試算2.jpg)
人によって条件は異なりますが、夫婦二人の年金額を平均23万円/月とします。
寿命を90歳とした場合、65歳からの25年間でもらえる年金額を計算します。
23万円×25年(300ヵ月)=6,900万円
65歳から90歳までの年金は合計6,900万円となります。
老後資金はいくら必要か?
老後のことを考えようとしても、40代の方が老後生活を具体的にイメージすることは、まだ難しいかもしれませんね。
ネットやテレビから、老後の必要資金は2,000万円と聞いたことがあるかもしれません。
しかし、これは平均値なので、あまり参考にならない金額です。
「公益財団法人 生命保険文化センター」によると、老後の生活には、月々以下の金額が必要と言われています。
【夫婦二人の場合】
・ごく一般的な生活:22.1万円/月
・ゆとりのある生活:36.1万円/月
これを例に、65歳から90歳までにいくら必要かを計算してみましょう。
【一般的な生活の場合】
22.1万円×25年(300ヵ月)=6,630万円
【ゆとりある生活の場合】
36.1万円×25年(300ヵ月)=1億830万円
老後資金は〇〇〇〇万円足りない
90歳までの寿命とした場合、「貯金」+「年金」-「老後の生活費」でどうなるのか計算してみましょう。
【一般的な老後生活の場合】
318万円+6,900万円-6,630万円=588万円
【ゆとりある老後生活の場合】
318万円+6,900万円-1憶830万円=-3,612万円
あくまでも計算上ですが、月22万円の一般的な生活でも余裕がなさそうです。
しかも、ゆとりある老後生活(月36万円)を送るには、約3,600万円も足りません。
老後資金は40代からでも遅くない
でも、悲観することはありません。
40代からでも資産形成をはじめれば、老後資金をまかなうことは十分に可能です。
政府統計の資料を見ても、40代から株や投資信託をはじめている人が多いことが分かります。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/年代別有価証券.jpg)
30代ではまだ少ないですが、40代になると一気に倍になっています。
私も40代から、老後資金を意識した積み立てを行ってきました。
新型コロナの影響で利益がマイナスに落ちた時もありますが、今では貯金の利率を大きく上回るものになっています。
40代から資産形成をはじめるなら投信積立がおすすめ
40代から資産形成をはじめる方にオススメしたいのが、「投信積立」という方法です。
投信積立とは「投資信託を月々積み立てて購入する」ことで、プロが運用する金融商品になります。
それを毎月定額で積み立てていくことで、株や特定市場の成長に比例した資産形成ができます。
銀行の利率が0.01%しかない現在において、お金を預けるだけでは増えていきません。
お金がお金を生み出すような仕組みを活用しないと、必要な老後資金の確保が難しい時代です。
まずは、ふつうに貯金したときの具体例を示します。
・世帯主:男性40歳
・積み立て可能額:3万円/月
・積み立て期間:25年間(40歳から定年の65歳まで)
この場合、3万円を25年間(300ヵ月)積み立てると、400万円になります。
でも、これだと心もとない感じですね。
では、毎月3万円を積み立て、そのお金を複利3%で運用したとしましょう。
その場合の複利計算は以下の通りです。
- 1年目:36万円×3%=1万800円の利息
- 2年目:(37万800円+3万円)×3%=1万2,024円の利息
- 3年目:(41万2,827円+3万円)×3%=1万3,284円の利息
得られた利息を元本に加えながら、計算していくのが複利計算です。
![](https://40-sisan-keisei.com/wp-content/uploads/2021/02/複利計算グラフ.jpg)
最初は少ない利息ですが、これを25年(300ヵ月)つづけていくと約1,300万円となります。
これに貯金と退職金を含めれば、まあまあの金額になるのではないでしょうか。
少しだけ余裕が持てる生活ができると思います。
5.まとめ
人生100年と言われていますが、長く生きるにはお金が必要です。
計算してみると出費も意外と多く、老後資金を確保するのも大変。
かといって年金もあてにならず、若いときから投資をはじめていればと後悔ばかり・・・。
はじめるなら「時間」という武器を長く使える若いときに、老後資金に向けた資産形成をスタートさせた方が有利です。
もちろん、40代からでも十分間に合います。
「投資信託を購入して毎月積み立てる」いわゆる投信積立を行っていけば、40代からでも老後資金は確保できます。